【ファッション雑学】流行色って誰が決めるの?

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古希を迎えた父に聞いてみた。
「お父さん、今年の流行色ってなんだと思う?」
「白」
「なんで知ってるの?」
「テレビで言ってたから」
こんな風に、”流行色”はあまりファッションに関心のない70歳の父にも浸透している。
しかし、この”流行色”がどうやって決められているかは知らない方、多いのではないだろうか?
そこで、こんな本を読んでみたので、ご紹介します。

book

出典先:http://www.jafca.org/onlinestore/book_jfa-0051.html

≪参考図書≫
日本のファッションカラー100 流行色とファッショントレンド(1945-2013)
著:一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)
≪ワード説明≫
・インターカラー(国際流行色委員会 : INTERNATIONAL COMMISSION FOR COLOR) )は、1963年に発足した、国際間で流行色を選定する世界でただひとつの機関で、2015年6月現在世界の15カ国が加盟している。
・一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)は1953年設立

流行色は、実は2年も前から決められています。

以下が、流行色が生まれるタイムスケジュールです。
2年前    インターカラー(国際流行色委員会 )が流行色を決定。
1年半前  加盟各国の色彩情報機関(日本はJAFCA)がインターカラーの決定にもとづく独自のトレンドカラーを発信。
1年前    素材の展示会が行われる。
半年前    アパレル各社がコレクション(ニューヨーク、ロンドン、パリ、ミラノ、東京)を開催。
「来年のトレンドは○○色!」という情報が雑誌に出回るのはコレクションの頃。

ここで、過去の主なファッション&流行カラー年表を作りましたのでご覧ください。

年配の方には『懐かしい!」
若い方には「そうだったの?」な、流行色年表
出典先:http://www.jafca.org/colorhistory/#unit-2000

◆1945~1970 時代背景:高度経済成長
終戦後の日本は、戦争を彷彿とさせるカーキ等は敬遠され、アメリカ人の影響を受けた原色中心の「アメリカンルック」が流行。また、カラーテレビ放送の本格化に影響を受け、彩度の高い派手なカラーが好まれる。
また、1960年頃には黒のスキースーツがトレードマークの大人気プロスキーヤーが来日。そのスキーヤーのCMと映画等とタイアップし、「喪」のイメージの黒を、ブームにした。カラーキャンペーンの先駆け的出来事だった。
1962年に百貨店で一斉にカラーキャンペーン「シャーベットトーン」という販売促進活動が始まる。ここで日本人は初めて色の仲間意識「トーン」という概念に目覚める。
また、同じ頃から「トリコロール(三色)」等の”配色”の流行が始まる。
1945シャーベットトーン

この期間の主な流行として、
●モッズルック(ザ・ビートルズ等のイギリスのロックブームで紫やピンク、花柄等の派手な色彩が流行)
●ビタミンカラー(幾何学調やポップ調などのデザイン、ファッションが若者を中心に流行。ビタミンカラーと呼ばれるヴィヴィッドな色調が話題に。)
1945ビタミンカラー
●サイケデリック(幻覚を視覚化したような、派手な原色や蛍光色、流動的なデザインが特徴。ヒッピーブームやポップアートにも影響を受けた。)
1945サイケデリックカラー

◆1971~1978 時代背景:不況や公害等の不安感
不況や公害問題等で人々の心は自然志向に。ナチュラルカラーと、アースカラーが流行する。
1971アースカラー

この期間の主な流行として、
●アーミー/サファリルック(ベージュ、カーキ、オリーブグリーン等)
●ウォッシュアウトカラー(洗いざらしのジーンズ、わざと色落ちさせるブリーチアウト等、使い古されたようなユーズド感、ヴィンテージ感に人気が高まる。)

◆1979~1989 時代背景:バブル景気で活気に溢れた時代
ハイテク機器やDCブランドファッションが登場。都会的な色としての「黒」が流行。また、ヴィヴィッドカラーも流行した。
この期間の主な流行として、
●パステルカラー(サーフィンやスケボー等アメリカ西海岸のスポーツがブームになりました。明るい雰囲気の色が流行。)
1979パステルカラー
●ニューウェイブ(パソコンが出てきたり、電子音楽の流行。白と黒の市松模様や水玉、ストライプが流行。また、「白と黒」や「白と赤」のツートンも人気に。)
●モノトーンブーム(洋服から、インテリアまで都会的な雰囲気が人気に。)
1979モノトーン

◆1990~1995 時代背景:バブル崩壊後、不況の時代へ突入
人々は保守志向になり、ベーシックでシンプルなスタイルが主流になる。単品アイテムを使った「カラーコーディネイト」の時代になる。
1990エコロジーカラー

この期間の主な流行として、
●青ブーム(紺ブレ人気&エコロジー志向が絡んで「青」がブームになる。様々な色調のブルーが流行する。また、同色系でまとめる「トーン・オン・トーン」のコーディネイトが多く出た。※この頃、私もよくブルーの服を買った記憶があります。
●モード系セクシーカジュアル(サテン、ビニール、ナイロンコーティング等の素材感の流行。また色としては、都会的テイストとして「こげ茶」が流行する。色と同時に素材感が重視されるようになったのはこの頃)

◆1996~2000 時代背景:不況の継続。コギャルファッションの流行
レトロファッションの人気、コギャルファッションの流行等、カラフル化と共に「透ける」「光る」等の素材感、質感を重視する時代へ。
この期間の主な流行として、
●スケルトンカラー(”透け感”がキーワードとなる。初代iMacが取り入れ、翌年発表の「キャンディーカラー」はその後の家電に大きな影響を与えた。※私もキャンディーカラーのiMacを購入しました。
●家電分野のシルバーブーム(スタイリッシュでハイスペックなイメージがあるシルバーが家電分野で人気に。※私はこの頃、結婚し、家電はシルバーで揃えました。
●ピンクブーム(1999年より、10年間、ヴィヴィッドからパステルまで色々なピンクが流行。メンズにもピンクを取り入れたコーディネイトが人気になる。毎年、彩度やトーン等色味を変えながら継続している。理由としては、長引く不況や天災などの不安感が、ピンクの持つ幸福感、明るさ、ポジティブなイメージが求められている結果だと思われる。)

◆2001~2010 時代背景:テロなどの社会不安
テロなどの社会不安により、癒されたい志向が高まる。白やピンクなどのピュアで温かみのある色が人気に。カラフルな色使いも継続して人気。
この期間の主な流行として、
●オフホワイト(21世紀になり、新しくスタートするということでも注目された色「白」。その中でも優しいイメージのオフホワイトが人気になる。)
●エコロジー志向がオシャレになる(ロハス【lifestyles of health and sustainability(健康 と持続可能性の、またこれを重視する生活様式)の略】という言葉が生まれる。ブルー系、グリーン系が人気カラーになる。)

◆2011~ 時代背景:東日本大震災以降
ファンタジーを求める傾向が高まる。アニメ、コスプレなどのファッション、色使いに共感が集まる。光りを表現した色や、ヴィヴィッドカラーの拡大。さらにネオンカラーに続く。
この期間の主な流行として、
●80’sリバイバル(2007年頃から過去に流行したものが再び注目されるようになる。ハイコントラストの組み合わせやインパクトのある配色使いが若い世代を中心に流行。)
●青ブームの再来(大きな落ち込みがあるときにブルーは流行ると言われている。)
1970年初め頃 ジーンズ流行(社会背景:公害問題、オイルショック、景気低迷)
1990年初め頃 ネイビーから、ライトブルーまで青の流行(社会背景:オゾン層破壊、バブル崩壊)
2008年夏頃~ ブルーの再浮上(社会背景:リーマンショックによる世界的金融危機)
ネイビーの持つ信頼のイメージ、明るいブルーの持つ自然や爽やかさが今、求められている。

本書によれば、ファッションは多様化の時代を超え、今や自ら作り出す時代になっているが、”流行色”というものはその時代の「経済」「社会」「カルチャー」などあらゆるムードを象徴するものであり、時代の気分、その時代の先の気分を分析、予想し、生み出されている。
その”予想された流行色”は、世界各国独自の習慣や文化を取り入れながら国境を越えて世界中の人々に楽しまれているという事だ。

一口に”流行色”と言っても、基本はベーシックカラーと呼ばれる「白」「黒」「紺」「茶」「グレー」が75%を占めている。これは、常に安定して”売れる”色たちである。

私は先日、自由が丘の駅で電車を待っている間、ファッション観察をしてみた。
カラフルな色を着ている人は少ない印象だった。ベーシックカラーを組み合わせて着ている人がほとんどだった。差し色にピンク、グリーン、イエローが目に入る。ベーシックカラーの茶の仲間かもしれないが、ベージュも多く見られた。

ベーシックカラー以外の残り25%がトピックカラーと呼ばれ、このトピックカラーの中でも特に目立つ色が”流行色”と呼ばれる。”流行色”と呼ばれるのは、なんと全体の3~5%と言うのだから、かなり少ない。
また、”流行色”というのは、1色だけではない。核となる1色を決めても、それに合わせる類似色や、反対色も注目されるし、色単品ではなく、その配色方法(色合わせ)も時代の気分を表すようなものになっている。
カラー

出典先:http://www.aloharag.com/eng/

今、欲しい(気分)の色は、決められた”流行色”に踊らされている訳ではなく、時代のムードに沿っていると考えられる。
私たち自らが時代の波の中で生きている結果、その色を欲していると考えれば、とても感慨深い。

これから先の近い将来、未来。果たしてどんな事が世界に起こり、私達はどんな気分で過ごすのだろうか?
どんな流行色が来るのだろうか?
世界中が平和で幸せな時代になりますように。

※BUY-CRAZYでは今年の流行色マルサラの記事も載せています。(画像クリック↓)
マルサラ記事1
マルサラ記事2

 

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